間違ったマーケティング戦略〜日本企業・日本人特有の〜
今回は日本企業・日本人の多数が間違って認識している内容をまとめました。
この認識のためマーケティング戦略実際にも影響を与えています。
この間違いはものづくりの点でとても大きな意味を持ちます。実際に考え方のベクトルが違えば「ものを製作・販売、人々に広め生活を豊かにする」(Win-Win関係)根本的な考えから離れてしまいます。今回はそれを記載していきます。
○日本企業・日本人の間違った認識1
「イノベーションの考え方」
多くの日本企業・多くの日本人の認識は「イノベーション=技術革新」と思います。ですが、実際は「イノベーション≠技術革新」です。
本来のイノベーションとは
「発明と市場の新結合」(爆発的に普及した新製品)
技術そのものはイノベーションでもなんでもなく、既存技術でもそれを使用して製品が爆発的に売れ始めて始めてイノベーションと呼べます。
また後日詳しく説明しますが、爆発的に普及する基準というか指標があります。
「イノベーター理論」と呼ばれるもので、製品購入の際の対応で5パターンに分かれます。簡単に説明します。
新製品が出ると下の順で市場に製品が知れ渡ります。大多数が製品を知り購入すれば「普及した」と言えます。
・(なんでも購入する人)イノベーター 2.5%
・(初期購入者)アーリーアダプタ 13.5%
・(追従購入者)アーリーマジョリティ 34.0%
・(続追従購入者)レイトマジョリティ34.0%
・(伝統化しないと買わない人)ラガード16%
この中でも「(初期購入者)アーリーアダプタ」に受け入れられる(初期購入者の大多数に知れ渡る)ことができれば、大多数に知れ渡り「普及する」と言われています。
実際にこの指標で「この製品は売れていく」と思って、同じような追従製品を出して対抗している海外企業も少なくありません。
○日本企業・日本人の間違った認識2
「良いものを作ったら売れる」
「良いものを作ったら売れる」というのは開発における考え方の一つで、企業→消費者に対して企業都合の商品を提供する考え方です。悪く言うと商品の押し付けになりうる開発方法になります。
「良いものを作ったら売れる」というのは開発における考え方の一つ
下記は開発における考え方です。それぞれメリット・デメリットがあり、その両方の考え方を持って状況に合わせた開発が必要になります。
「良いものを作ったら売れる」:企業優先製品開発
・技術革新を重視
・自社の技術力を高める意味では良いが、必要ない製品を作っても売れない
「売れるものを作る」:生活者優先製品開発
・マーケティングを重視
・マーケティングする上で、自社ができる技術力を把握およびある程度持つ必要がある
多くの日本企業は企業優先製品開発で製品を作り出している傾向にあります。
○日本企業・日本人の間違った認識3
「日本市場はまだまだ元気」
日本は島国で直接海外と接していないため、やはり海外情報が入りづらいのが事実です。そのため、新興諸国(BRICs、東南アジアなど)が急成長していることを実感しにくいです。実際に新興諸国と呼ばれる国の首都に行ってみると驚くと思います。活気があり、高層ビルもたくさん建設されてきています。規模は違いますが、経済成長率でいうと日本は−0.1%程度、成長著しい国は10%近くになっています。勢いがある国の企業はどんどん力をつけていこうとしています。
日本の企業は日本の市場だけ見てしまっているとなかなかこのことに気がつかないばかりか、成⻑著しい新興諸国市場での発展に立ち遅れてしまいます。
○日本企業・日本人の間違った認識4
「マーケティングの考え方」
「マーケティング=市場統計・市場調査」と間違った認識のため多くの日本企業はマーケティングに対して軽視しがちになってしまっています。市場統計・市場調査しただけでは、5W1H(なにを、だれに、どこで、なぜ、いつ、どのように)を具体的に求めることができません。
本来のマーケティングとは
市場創造をすること
経済、技術、市場、制度、政治、人の心の変化を見極めて市場創出させる
これらが組み合わさった箇所が「新市場創出」となり、しあわせ創出と呼ばれます。具体的に図と4つの制約を説明します。
技術的制約:作る技術があるか?開発がされているか?開発できるか?
社会的制約:水道、電気等のインフラの状態はどうなのか?
経済的制約:購入・維持する経済力があるのか?
文化的制約:特徴ある文化があるか、製品を使用する文化があるのか?
マーケティングを意識した製品の例としてインドで有名なものを挙げます、
・使用人による盗難多発→「鍵付き冷蔵庫」
・国⺠的競技がクリケット→「クリケット点数表示機能付きテレビ」
・鮮やかな色を好む→「初期設定で通常より鮮やかにしたテレビ」
既存技術でも組み合わせで市場を創出でき、場合によってイノベーションにもなりえます。
日本のものづくりの強み弱みではマーケティングも考慮した説明をしています。