開発する前に必要なことを考え直そう!
開発は新しい物を世に生み出す行為です。(ここでの設計は開発行為上の設計を指します)そのため、リソース(人材、資金、道具・材料)がとても多く必要となります。
自身の組織(以外、企業)の状況・状態、社会の動向を考慮に入れて本当に必要なことか判断しなければなりません。
また、開発設計行為をしていたとしても、状況の変化により無駄な事になります。
監視を設けて、継続か中止か適正に判断する事も重要になります。
これらを踏まえて、開発設計する上で考えなければならない事が幾つかあります。
企業の状況・状態の把握
開発設計する上で考えることは、まず自身の状況を的確に判断することです。すなわち企業の状況・状態を把握することがまず第一です。
・企業の状況・状態の把握
- リソースの確認(人材、資金、道具・材料)
- 問題点の真因の確認
- 開発製品の立ち位置
1の「リソースの確認」は、会社の健康状態を確認するということで重要です。企業の固有技術なども材料になり開発自体の成功率を上げるためにも必要です。たとえば、資金を考えずに大規模な新規開発を行うことはとても大きなリスクを伴います。
2の「問題点の真因の確認」は、開発設計を行うことで直面している問題の解決になるか見極める必要があるということです。
製品開発の場合は、イノベーションにつながる製品となりえるか、製品開発で問題が解決されるか知る必要があります。もしかしたら営業や供給の問題だったりします。製造工程・設備開発の場合は、その開発で製造上のボトルネックが解消される、もしくは製造全体の効率化(全体最適)ができなければ意味がありません。
3の「開発製品の立ち位置」は、その製品がどれぐらいの重要度の高さなのか把握する必要があります。中には本当に必要な開発なのか疑問になる開発のもあります。開発する物がないからとか、継続して開発しなければならないとかはありません。先ほども述べたように開発という行為はとてもリソースを費やします。無駄に開発を行うのであればリソースを他の業務に分ける方が良い場合もあります。
現在の自身の企業の状況を把握することで、開発できる準備が整っているか知ることができる。
社会での企業の立ち位置の把握
次に、相手や状況を確認することです。すなわち競合相手や社会からみた客観的な立場を知ることです。
・企業の社会での立ち位置の把握
- 競合他社と企業の比較
- 開発行為で多くのステークホルダーがしあわせになるか
1の「競合他社と企業の比較」とは、競合他社に対して優位になるような開発をして今後の開発依頼や開発製品の売り上げを伸ばそうというものです。自社内の製造開発等の場合はこの限りではありませんが、他社の動向を確認することは非常に重要になりその分野の動向も見えてきます。
2の「開発行為で多くのステークホルダーがしあわせになるか」とは、開発行為自体に無理をしてステークホルダーに迷惑が掛からないか確認することです。ひと昔前は「お客様第一主義」が多くの企業で見られました。「お客様第一主義」を優先して従業員に無理をさせると生産性が落ち、利益が下がります。また、その他のステークホルダーをないがしろにすると企業の社会的地位が下がってきます。そのために注意が必要です。
ステークホルダーを簡単に説明します。日本語で「利害関係者」で、株主、顧客、得意先、地域、従業員等の企業に関わる人たちのことです。
社会の中の立場を確認することで、他社からの優位性や社会的地位を知ることができる。
開発製品と関連する社会の動向の考慮
・開発に関連する社会の動向の考慮
- 製品は、新市場創出になっているか
- 顧客・製品を必要とする人の品質を満足するか
- 製品に関連する、トレンドの期間はどれぐらい
- 製品のロードマップが描けるか
1の「新市場創出になっているか」は製品の注文者がなく自ら製品を不特定多数に対して世の中に提供する場合に必要な考え方です。必要とする人がいて製品自体の開発行為が無駄にならないか知る必要があります。
2の「顧客・製品を必要とする人の品質を満足するか」とは製品を使用する顧客のに対して品質を満足しているか判断をすることです。判断できなければ、これも開発行為の無駄になります。
品質の項目で詳しく説明しますが「品質=顧客の要求+付加価値」になります。これは満足につながる内容と同じになります。後ほど詳しく説明しますが「満足⇆不満足」ではなく、「満足⇆満足でない」、「不満足ではない⇆不満足」と別物になります。これらを間違えると顧客に対して最高の提供をしたとしても、顧客は大して提供してもらっていないと不一致がうまれます。
3の「トレンドの期間はどれぐらい」とは、製品に関連する内容が世の中でどの程度の期間しようされるか知ることです。イノベーションとなりえる他社の製品に追従して開発する場合、開発完了時に製品が飽和したり製品が廃れたりしてきては費用対効果が薄れてしまいます。
トレンドの期間はイノベーター理論や同様の製品の傾向から何となく判断できると思いますが、非常に判断が難しいです。昔よりもかなりトレンド期間が短くなってきています。
大きな企業がイノベーションのジレンマに陥らないようにするためや、ランチェスター理論の1つとして中小企業の追従を許さない場合など開発の直接的な費用対効果を無視しておこなう場合もあります。
4の「製品のロードマップが描けるか」とは、今後の製品発展や自身の技術につながることも考慮に入れましょう。できれは社会動向を考慮した技術となれば、なお良いです。
開発前に製品を見直すことで、リソースの無駄を最小限にして投資対効果を最大限にする。
そのためには何をするのか?
たくさん書いたけど、、、具体的には?
いままでの話を簡単にすると、「己を知り、相手(・世の中)を知る」、「これからやることを知る」ということです。それぞれやり方はあり、独自に考えた方が早い場合もあります。ですが、わからない場合に特にやってみて欲しいのは以下のものです。
・「己を知り、相手(・世の中)を知る」
SWOT分析:自身の企業が競合他社と比べて何が強みで何が弱みか把握する場合に使用します。本来は事業の変化に対応したリソースの最適化を求めるのに使用しますが、開発製品を決めた後にリソースはどの程度他社より必要か確認する上でも使用できます。
・「これからやることを知る」
アンゾフの成長マトリックス分析:製品と市場の分析で開発製品がどの位置づけになるかの把握し、今後の成長戦略を決めるのに使用します。ここでは製品のロードマップを描くために使用します。
詳しくはその時に説明します。
これらは開発設計行為だけでなく、経営のマネジメントとしても必要になります。
普段より定期的に知るようにすれば、比較的これらの工数は少なくなります。
開発の大変さがわかったと思います。
次に開発の流れと開発プロセスで開発について詳しく説明したいと思います。