これからの組織
今までの組織として効率化を優先していました。そのため、研究、開発、設計、製造、営業等のそれぞれの部門が専門的に行っていました。これからのアイデアでも話したように、これからの組織ではより良いアイデアが自然発生しやすい環境、組織づくりが広まってきました。これからの組織の対比として、効率の重視したマトリックス組織と特定の問題点に対応するクロスファンクショナルチームの話を始めにしたいと思います。
マトリックス組織
マトリックス組織とは?
通常の組織が事業別、機能別などの単一の基準で編成されています。単一基準で編成されていた組織ではそれぞれ管理が異なることで特徴が異なり、共通可能な部分での連携が取りにくくなってしまっています。そのため、経営資源のロスが発生していました。
それに比べ、マトリックス組織とは2つの基準を組み合わせて編成した組織のことで、それらの基準に対して一括管理するため共通可能な部分をまとめて経営資源のロスを減らすようにしています。名前の由来は、2つの基準をそれぞれ縦軸と横軸に並べて組織がマトリックス(行列)として見て取れるためです。ただし、単一の基準で編成されていた組織と違い、2つの基準で指示命令系統ができる(複数の指示命令系統ができる)のが特徴となります。
メリット:マトリックス組織は1つの基準だけで編成された組織の欠点を減らし、無駄な機能の重複をなくして経営資源を有効に利用できます。
デメリット:1人の社員に複数の上司がいることで調整が複雑になっていきます。
経営資源の有効化・効率化のために組織される
クロスファンクショナルチーム
マトリックス組織について説明しました。これからの組織の考え方であるより良いアイデアが自然発生しやすい組織の説明に移る前に、特徴が似ているクロスファンクショナルチームについて説明したいと思います。これは特定の問題点に対して取り組む組織の1つの方法です。
クロスファンクショナルチームとは?
クロスファンクショナルチームとは、様々な(機能毎、事業毎)組織や専門分野の人たち(以下、有識者)を集めたグループになります。組織をより良くしたり、問題を解決するために効率的な方法で協力していくグループになります。それは多数の部署の考えと専門知識を要求する特定のタスク・問題に対応した自律的なチームとして機能することが多いです。ただし、それぞれの有識者に対して情報の理解度が同じにならなければ、立場に対してのアプローチができなくなります。
特に分野が違うと理解し理解させるためにも労力が必要になってきます。また、特定の問題点解決のための組織であるため、同様に別のクロスファンクショナルチームもしくは本来の部門の業務を並行して行うことも多いです。そのため、本来の部門以外の業務や別組織に対する業務等のマルチタスクに通じる必要があります。
それ以外の複数の同様の問題解決
メリット :
特定の問題の遂行に際し、問題解決の発想が生まれやすい
デメリット:異なる意見の合意を主導するリーダーシップが重要。情報をメンバー全員が同じ理解度にしなければならない。メンバーはマルチタスクに通ずる必要があります。
特定の問題解決のために組織される
コラボレーション組織
上記でマトリックス組織とクロスファンクショナルチームを説明しました。これらも特徴がある組織形態なので、必要に応じて組織編成をすれば大いに役に立ちます。ですが、これからの組織ではより良いアイデアが自然発生しやすい環境、組織づくりをする傾向になってきました。やはり集団的知性を最大限生かせるようにする組織形態が必要であると思われてきています。それができる組織形態がコラボレーション組織であるといわれています。
コラボレーション組織とは?
コラボレーション組織は先ほど説明したクロスファンクショナルチームとは若干異なり、クロスファンクショナルチームは専門分野の人たちを一時的に集めるのに対しコラボレーション組織は知識や問題点、情報が共有され、集団的知性がより組織全体として発揮できる組織になります。
そのため、コラボレーション組織の人材というのは社内の他業種(機能毎、事業毎)だけでなく、企業の壁を超えた場合でも組織体の全体にわたっての知識や情報の共有をする人の集まりであると言えます。また、それを自然発生させるように環境を作り上げた組織も同様です。
メリット:集団的知性を十分に発揮でき、イノベーションにつながる発想が生まれやすいです。
デメリット:組織に属する各構成員の自立性がないと、怠慢化につながります。イノベーションにつながる発想にならないと経営資源の回収がむずかしくなります。
集団的知性を十分に発揮できる組織。組織の枠を超えたチームづくりが必要
コラボレーション組織の作り方
コラボレーション組織のための環境づくりとして、以下の内容があげられます。マトリックス組織やクロスファンクショナルチームと違い、組織形態よりも環境づくりを重視しています。これはコラボレーション組織の根本的考えの「構成員の自主性」を高めるためです。
・知識管理の手法により優れた即興の成果を選びだせる。
・緊密なネットワークを築き、しかるべき人がしかるべき情報を持てる状態にする。
2.知識・情報の取得
・複数のプロジェクトを常にかかえ、違う問題に向き合うようにする。
3.創造的に考える環境づくり
・創造的に考える場所を与える。オープンスペースはイノベーションを生み出す自然な流れつくる。
・創造的に考える時間を与える。時間的ゆとりを設けて、出現まで時間がかかる天才的発想の時間をつくる。
・誰でも交流できる環境を与える。組織内外でも交流できる場所・時間を作ってあげて個人個人の情報・ネットワークを拡げてあげる。
4.「まずは試す」を信条にする
・組織の役割をあいまいの状態で行う。混乱に陥る手前まで自身の役割を超える半構造状態で対応する。体験しなかった内容もわかる。
・各組織の文化的違いを一掃する。部門ごとの違いにより特に上層レベルで衝突しやすい。そのリスクを消し、部門間のわだかまりも一掃する。
5.アイデアの取得・選択
・創造的アイデアをまとめる部門を作る。アイデアを企業の知識として取り込むための部門をつくる。
・適切なイノベーションになるか見極める体制をつくる。イノベーションにつながると思われたアイデアでも間違っていた場合、修正する必要がある。
コラボレーション組織の例
競争型開発設計コラボレーション組織:サムスン電子の例
要素開発・開発部門と量産設計部門に分かれています。4チーム(1チーム30人前後)が1つの製品開発に対し要素開発・製品開発をおこないます。製品のデザインレビューを経てその中で一番良いチームのものが選びだされます。選ばれたチームは量産設計部門に移り製品の量産化および営業販売とも連携していき、選ばれなかったチームはまた別の製品に対する要素開発・製品開発に移ります。さらに量産設計を行っていたチームもその製品の量産化を終えると要素開発・製品開発に移ります。
そのため、認められる製品開発を行ったチームのみが量産化・営業販売に向かうことができるため競争が生まれてより良いものを作ろうとするモチベーション維持にもつながります。同時タイミングで同様製品開発の問題点に多数が直面するため、問題点共有が自然と起こるようにしています。
これらの方法は開発費用がかかるが、競争関係によるモチベーション維持と各チームがおのずと各部門の問題・製品の問題内容を把握できる組織
の例となります。
ほかにも創造的に交わせるスペースを持たせる企業などたくさんあります。時間のあるときに追記で説明したいと思います。
これからの組織
組織のあり方はその組織をどのような方向に持って行きたいかで変える必要があります。
組織改革をしなくてもある程度はできますが、個人個人のモチベーション等に左右され安定しません。やはり組織改革(人、環境、状況)を考える必要があると思われます。