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マネジメント7 決断における意思のバイアス

決断における意思のバイアス

決断における意思のバイアス

バイアスとは

バイアスの考え方はビジネスの中で非常に重要になってきます。
業務の効率化・業務品質、ビジネスにおける戦略、製品のイメージなどたくさんの事柄に関わってきます。

バイアスの考え方を知っているのと知らないのではビジネスにおいて1つ武器を持っていないのと同じです。
考え方は非常に深く、ここでは簡単に説明しますがより深く知りたい方は色々と調べてみてください。

決断におけるバイアスとは

バイアスとは「先入観・偏り・偏執」のことです。
特にこの「決断における意思」の場合は考え方の偏りになります。
実際に誰もが持っているもので、個性や性格、生活に出てきます。

この考え方の偏りは色々な考え方を参考にする上では非常に重要です。
ですが、逆に言えば「それぞれ考え方を持っている人たちに同じ決断はできない。」ということになります。

また、直感的に判断する場合でもバイアスが関係してきます。
しっかり物事を判断する力「意志力」は体力と同じように1日のうちに消耗していきます。
その意志力を抑えるために、バイアスという自動判断機能が備わっているのではと考えています。

会社の中でこんな感じになっていませんか?

・課長と部長の業務の言っている内容が違う
・上司が人を見て判断する
・一度の失敗でできない人と決めつける
・人に対する過度な信頼や過度の不信
・他人の話を鵜呑みして、それを判断基準とする

考え方の偏りが大きく現れている状態と言えます。

考え方の偏り、それは個性や性格にも出てくる

バイアスは管理するべき?

実際にそのバイアスを管理すべきなのでしょうか?

工場などの生産現場で物事を考えてみましょう。
「ばらつきと工程能力」でも詳しく話をしていますが、製品にはばらつき・偏りがありそれを考慮した品質確保が重要です。
そのため製品には規格があり、それは製品を世の中に出せる合格範囲となって品質が保たれます。

自然現象としてのばらつき方は正規分布で表されます。
製品製造の偏り、ばらつきというのは以下の図のような状態です。

青で表した曲線は理想的な目指す分布で、赤で表した曲線はばらつきが大きい分布、茶色で表した曲線は偏りがある分布になります。

理想的な目指す分布に近づくように調整していきます。
これにより手直しや廃棄が少なくなり収益の改善を図っています。

全く同じことが、他の業務においても言えます。
製造業・工場がこれだけ品質確保、効率化と言っているのに業務自体にはあまり言われません。

目的のものがまとの中心と考えると、他の業務のおける理想的な分布、ばらつきが大きい分布、偏りがある分布は以下のようになります。

業務によっては実際に目に見える部分が少ないのと、品質の良い悪いの判断が難しいということが挙げられます。
ですが管理することで非常に会社にとって有益になります。

バイアスは偏りがある分布の状態のため以下のように修正が必要になります。

業務の効率化・業務品質保障のためには管理が必要

以下の本もバイアスに対しての考え方が詳しく載っています。
また思考方法の流れとしても詳しく書いてあるので参考にしてみてください。
行動意思決定論―バイアスの罠

バイアスの種類

バイアスは「偏り・偏執」なので、対象になるものが膨大な数になります。
ここではその無数にあるバイアスの中で特にビジネスに関係しそうなバイアスをいくつか説明していきます。

一般的バイアス

一般的に誤った考えの偏りになります。

・サンクコストバイアス
・自信過剰、過小バイアス
・損失回避バイアス

・サンクコストバイアス
サンクコスト(埋没費用:費やした時間、労力、お金)に対してのバイアスになります。
一度費やしたサンクコストを取り返そうとして、さらにサンクコストを大きくさせるバイアスになります。
考え方としては、もう少し投資すれば費用が回収できると思うギャンブルにのめり込む考えと同等です。

企業にとってこのバイアスは切っても切れない縁になっています。
どこでどう判断するか、各企業にとっての使命とも言われています。
後ほど「ビジネス内でのバイアスでの失敗事例」で詳しく話を取り上げたいと思います。

・自信過剰、過小バイアス
このバイアスは自分自身の評価をどのように把握しているか客観的な立場との差で生まれるバイアスになります。

比較的男性は「自信過剰」のバイアスが強く、女性は「自信過小」のバイアスが強いと言われています。
また、日常的に褒められ続けている人は「自信過剰」のバイアスが強く、責められ続けている人は「自信過小」のバイアスが強いと言われています。

・損失回避バイアス
サンクコストバイアスと非常によく似ています。
「得るもの」よりも「失うもの」を重視してリスクを回避するバイアスになります。
人の恐怖心から遠ざかる本質的なバイアスです。

・例:サイコロを振って「1,2,3」が出たなら「出た目*¥1000」を失う、「4,5,6」が出たなら「出た目*¥1000」を得る。
チャンスは1度のみ

あなたならやりますか?

もらえる金額が倍になったとしても、失うものもあるため「失うこと」を回避したいと少なからず考えるはずです。
過度の損失回避バイアスだとしたら、何か新しいことを行うことができなくなります。

一般的に誤った考えの偏り

社会的バイアス

社会として集団間に関連する考えの偏りになります。

・性別に対するバイアス
・民族に対するバイアス
・文化に対するバイアス
・宗教に対するバイアス

社会的バイアスはその集団全体が一種の集団的思考に陥っている場合があるため、考え方が非常に根強いです。
そのため、考えを変えるのが難しいバイアスになります。

・性別に対するバイアス
男尊女卑の考え方や仕事上での男女差別のような考えの偏りになります。

男性に与える仕事と女性に与える仕事を区分けするといった内容になります。
もちろん男性と女性は異質なので適材適所ならば良いのですが、男性と女性は同等に扱われなければいけません。

・民族に対するバイアス
民族間に対する考え方の偏りになります。
国や民族にまたがったり、同じ国内であっても地域の差によっても同じようなバイアスがあります。

・文化に対するバイアス
文化、国に対する考え方の偏りになります。

例えば、麺に対する食べ方
・日本:
 麺をすすって食べる → 嗅覚を最大限に活かせる食べ方
・海外:
 麺はそっと食べる → 音を出して食べるのはマナー違反

「食事の時の日本人=食べ方が汚い」と考えが偏ってきてしまいます。

・宗教に対するバイアス
宗教に対する考え方の偏りになります。
このバイアスは社会的バイアスの中でも強いです。
バイアスと言いますか、その宗教に対してイメージを勝手に作り上げていることが多いため、後ほど述べます「仮説検証バイアス」にも近いところがあります。

「対応宗教の考え方=その人の考え方」にはなりません。
「対応宗教に属してる多くの考え方=その人の考え方」にはなりません。

集団間に関連する考えの偏り

認知バイアス

認識・認知することで生まれてくる考えの偏りになります。

・ヒューリスティックバイアス
・確証バイアス
・アンカリング

・ヒューリスティックバイアス
ヒューリスティック(暗黙知・暗黙則・正確に近い仮説)を知ることで、それに対する考え方の偏りになります。

根拠はないが暗黙則に基づくことを受入れることです。
悪いこととは言えませんが、そればかりを優先するあまり肝心の理論的な部分(根拠のある部分)をおろそかにしてしまってはいけません。

例:民間療法でのヒューリスティックバイアス
医学的には解明はされていないが、民間療法として効くという情報があるとそれを優先して実践してしまう。

・確証バイアス
自己の先入観を強める意見のみを聞き入れる考え方の偏りになります

自分自身の仮説に基づいた情報ばかりを集め、その反対情報は集めなくなります。
そのため、自己暗示がかかったように自分自身の仮説が定説になったと誤解します。

例:うわさ・ゴシップ
うわさやゴシップといった内容を周りに話して、その情報が自分のところに返って来ただけなのに意見を強める。
さらに、その話がたくさん入るとうわさ自体の確証を何らないはずなのに、確信に変わる。

例としてもう一つ:見た目
お金を持っていそうな人の判断(心理)

・スーツ姿
身なりが整っている→会社員→「お金を稼いでいる?」
・普段着
ラフな格好→職業についていない→「フリータなどであまりお金を稼いでいない?」

これも確証バイアスの一つです。
場合によりますが、決してそんなことはありません。
実際にお金を持っている人でも質素な身なり、生活をしている方もたくさんいます。

・アンカリング
先に与える情報が判断を歪め後の情報に影響を及ぼす考え方の偏りになります

大きい数値を見せた後は数値の大きい方の偏り、小さい数値を見せた後は数値の小さい方に偏るといったことです。
ビジネスの世界では非常の多くアンカリングを使用しています。

例:広告
下のような広告を見たことはありませんか?
・数値を1つ載せる
・比較する数値(大きなもの)を前に入れる


どうでしょう?②の方が安く感じなかったでしょうか?
他にも例えばビジネスではブランド店の外側から見えるところにブランド店の一番高い商品を陳列、それを見た後に店に入った顧客は店内の商品を安いと感じてしまう。といった内容です。

認識・認知することで生まれてくる考えの偏り

ビジネス内でのバイアスでの失敗事例

コンコルドの事例

サンクコストバイアスの事例でよく出されるのが、超音速旅客機「コンコルド」の話になります。

超音速旅客機として「コンコルド」は最終的にブリティッシュ・エアウェイズとエールフランスが経営を行なっていました。
利用空港が制限されること、音の問題、航続距離の問題など多岐にわたる問題も残ったままでした。
どんどん投資額が膨らんでいきました。

就航例:ロンドン〜ニューヨーク

コンコルド 一般的なジェット機
運賃(往復) 約180万円 約10万円(LCC)
約140万円(ファースト)
時間 3時間45分 7時間40分
最大航続距離 20 1
燃料比[1乗客当たり] 7,229km 約15,000km
座席数 100 約200-300
座席サイズ エコノミークラス程度

コンコルドのおおよそのサンクコスト推移

投資回収の心理が払拭されず、そのまま投資を続けてしまい2003年には終わりを迎えました。
サンクコストを決断における意思に含めてしまうとこのようにバイアスがかかり早い段階で決断ができないばかりか、状況を悪くしてしまいます。

確かに問題が解決される方法があったり、技術がもっと進んでいたらまた違っていたかもしれません。
ですが、結果としてその判断が間違っていたわけでした。

サンクコストを判断基準に使用しない

バイアスを回避するには

どのようにして、バイアスを回避していけば良いでしょうか?

・確かな情報
情報の元となる理論的な裏付けもとる
情報源をしっかりさせる。

・情報に対する判断チェック
情報は一方向からだけではなく反証意見も取り入れる。
業務のチェックリストを作成し、バイアスの有無・種類に関わらず対応できるようにする。
集団の中でバイアスがある場合は、バイアスの原因を確認する。
教育でバイアスがかかるような状況になっていないか確認する。

バイアスを軽減するには「確かな情報」と「判断チェック」

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